この記事は「君の膵臓をたべたい」で有名な、住野よるさんのデビュー10作目「恋とそれとあと全部」のあらすじや感想を紹介します。
後半では、本作に登場するロックバンドや、類似のおすすめの本についてもお伝えします。
「恋とそれとあと全部」は、片想い男子高校生めえめえと、気にしすぎな女子高校生サブレが夏休みの4日間の旅行を通して関係を変化させていく、青春恋愛小説です。
実際に読んでみて、めえめえとサブレの本心からの会話に感心し、純度の高い「恋」に尊さを感じました。
「恋とそれとあと全部」は、次のような人にお勧めです。
- ピュアな青春恋愛小説で胸キュンしたい人
- 特徴的な女の子の主人公が気になる人
- 「生死」のテーマに関心がある人
どの瞬間も、恋だ。
— 文藝春秋プロモーション部 (@bunshun_senden) March 20, 2023
住野よる『恋とそれとあと全部』
岡田蓮さん「僕のことかと思いました―」
全国の書店員さんからも絶賛の声。
大人も必読、傑作青春恋愛小説。
「恋とそれとあと全部」あらすじ
「恋とそれとあと全部」の紹介は下記です。
友達だけど、違う生き物
片想い男子とちょっと気にしすぎな女子。二人は友達だけど、違う生き物。
文藝春秋BOOKS https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163916606
一緒に過ごす、夏の特別な四日間。
めえめえ(瀬戸洋平)は下宿仲間でクラスメイトの女子サブレ(鳩代司)に片想いをしている。
告白もしていないし、夏休みでしばらく会えないと思っていた。そのサブレが目の前にいる。
サブレは夏休み中に遠方にあるじいちゃんの家に行くのだが、それはある〝不謹慎な〟目的のためだった。
「じゃあ一緒に行く?」
「うん」
思いがけず誘われためえめえは、部活の休みを利用してサブレと共にじいちゃんの家を目指す。
夜行バスに乗って、二人の〝不謹慎な〟そして特別な旅が始まる――。
恋という気持ちが存在する、この世界に生まれてしまった全てのあなたへ。
「夏休みに片思いの女の子と夜行バスで2人きりで旅行」という甘酸っぱさとドキドキが詰まったシチュエーションで、片想い男子めえめえと、気にしすぎな女子サブレの関係性が少しずつ進展していく、胸キュン必須の青春小説です。
「恋とそれとあと全部」の感想 ※ネタバレあり
めえめえがひたすらにサブレのことが大好きで眩しい
めえめえは生粋の体育会系の男子高校生ですが、ひたすらにサブレのことが大好きで、「サブレのことを理解したい」と心から考えています。
この本はめえめえの目線で話が進んでいきますが、言動の根底にサブレへの好意がある、そのピュアさに「ああ、青春だなあ」とまぶしさを感じました。
めえめえだけでなく、この本に出てくる、めえめえとサブレの友達である他の男子高校生たち(ダスト、ハンライ)も不器用で女の子に対してピュアでまっすぐです。
サブレに向けるめえめえの好意から、純粋な「恋」を目の当たりにさせられます。
いいや、一緒にサブレがいてくれるんだから。それだけでいい。
俺の片想いはそういうのだ。
住野よる「恋とそれとあと全部」
サブレとめえめえが会話と言葉を大事にしているのが素敵
サブレとめえめえは自身の発言の責任の重さを軽視していません。
特に気にし過ぎなサブレは自分の言葉が自分の意図と間違ったように受け取られていないかを気にして「ごめん、めえめえ、言い直していい?」という言葉とともに、頻繁に言い直します。
サブレもめえめえも、言葉と会話を大事にしているからこそ、違う価値観や考え方も認めて、お互いの存在を心の底から大事に思えるのかなと感じました。
めえめえはサブレの考え過ぎな言動に対して、サブレ本人に次のように伝えています。
「サブレって、めんどくさいっていうより、真剣なんだな」
家族に理解してもらえなかった「めんどくさい」性格を受け止めてくれた、めえめえのこの一言は、サブレにとってまるで救いのように嬉しかったと思います。あくまで想像ですが…。
サブレもめえめえも、人や物事にまっすぐ向き合えるのは魅力的ですね。
「死」について考えさせられる
サブレとめえめえの、〝不謹慎な〟旅の目的は、「親戚が自殺した部屋を見にいくこと」です。
サブレは「小さいころ、タナトフォビア(死恐怖症)だった」とめえめえに打ち明けます。
「死」についてめえめえとサブレが本心を伝え合う場面は、私たちが普段深く考えないようにしているけれども避けられない重要なテーマを提起してくるように感じました。
高校生のドキドキの旅行とはかけ離れているかのような重大なテーマですが、サブレとめえめえは本心を打ち明けていて、ここにもお互いへの信頼が見受けられます。
「恋とそれとあと全部」にズーカラデルとdustboxが登場?
「恋とそれとあと全部」には、作中に、いずれもロックバンドのズーカラデルとdustboxが登場します。
■ズーカラデルは、サブレがめえめえにプレイリストを共有した際に、その一曲として登場します。
「随分穏やかな始まり」という本文の記載と、サブレが眠れない夜に聞いているのかな、と勝手に予想したズーカラデルの曲は「夢の恋人」です。
■dustboxは、クラスメイトのダストが好きなバンドで、そのあだ名の由来として登場します。
「予想よりも早くて激しい」と本文では記載があります。
サブレの親友の女の子・エビナにまっすぐぶつかっていくダストの性格のようにかっこいいですね。
「恋とそれとあと全部」の関連書籍は?
「恋とそれとあと全部」と同じく、特徴的な女の子の主人公が出てくる、住野よるさんの小説として次の2つをおすすめします。
■君の膵臓をたべたい
男の子の目線で物語が展開する青春恋愛小説。映画化もされた、住野よるさんの代表作です。
本作のタイトル「君の膵臓を食べたい」の意味とは…?
■麦本三歩の好きなもの
恋愛ものではないですが、不器用で一生懸命な主人公・麦本三歩の日常を綴った小説。
読みやすくて、ほんわかした気分になれます。
まとめ
この記事では、住野よるさんの著作「恋とそれとあと全部」の感想やあらすじ、本作に登場するロックバンドの情報もお伝えしました。
最後に、「恋とそれとあと全部」は、次のような人にお勧めです。
- ピュアな青春恋愛小説で胸キュンしたい人
- 特徴的な女の子の主人公が気になる人
- 「生死」のテーマに関心がある人
気にしすぎな女子高校生サブレへの、男子高校生めえめえの片想いの結末を、ぜひ見届けてください。
▼特徴的な天才女子高校生の主人公が奮闘するこちらの本もおすすめです▼